夢の跡~はかなく消えて~
残像……
……Pm 7:00
小走りで裕二が帰宅した
靴下を取り替え、
会社のジャケットを脱ぎ 『取引先の専務を接待なんだぁ……』そう話し始める裕二は、
……なんで わざわざ俺がぁ、、嫌々な表情をしながらも口元はほくそ笑みながら スーツにわざわざ着替え始める。

『うわぁ~汗くさ! 真紀~臭いかなぁ…俺、香水つけて行った方がいいよね?……どお?汗臭くない?』態とらしい位に、しかめた表情で訴えながら、 いつもの、マリンの香りの香水を、まるで、 頭から瓶ごと被ったかの如くシュッシュッと、かけまくる姿は、本当に滑稽だ……。

『それって 香水の意味も無く ただ ぶちまけてる感じ、接待される専務さん不愉快になるわぁ…』 顔を背けながら優しい声でゆっくりと指摘した私に、『直ぐにケチつけるんだな真紀は!』
めんどくさそうに裕二が言葉を割り込ませてくる。
てか、以下にも遊びに行くんだ~わぁ~い!が見え見え過ぎるこの風貌……。

どこまで 道化師を演じれば彼は満足なんだろぅ……。

これから、接待の名目で夜な夜な繰り出す 彼を 今、この場でプロデュースする必要があるのか?ネクタイを選んで、スーツを選びYシャツを挿しあわせて……昔の自分も居たで在ろう世界に送り出す…… 夫婦にもなってないのに!

私は嫁か!

母親か?!

友達なの?

家政婦…其処まで行くにはヤッパリ結婚しなきゃ 例えに成らないでしょう……って!

私は何様?

彼は何様?

何年、何日こんな事続けてきたんだろぅなぁ…… あんなに 幸せな笑顔… あの頃と同じかぁ……

私にだけ向けられて居たね
裕二の笑顔は、
私の居ない場所で
誰かに向けられて居るんだぁ……
そこに 私は居ない。
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