。*゚ Time of a dessert ゚*。【短編集】
『絹川さん…?』
『え?』
振り返ると彼がスケッチブック
を片手にもう片手にはかばん
を持ち立っていた
『会えないと思った…』
ポロッと心の声が
口からこぼれてしまう私
『え?』
『夜…来なくなったから』
『あぁ…ごめんなさぃちょっとね…』
彼は少し気まずそうに
笑って答えると
ベンチにゆっくり腰を下ろす
私も立ち上がっていた体を
ベンチにおろす
少し…いやだいぶ…
気になってたことを考えると
胸が高鳴ってしまう
『あれ…さっき私の名前…呼びませんでしたか…?』
私…名前なんて名乗ってないのになんで?
『あ……』
彼はハッとしたと思うと
苦笑いをしてため息をついた
『仕方ない…ですね』
『なにがですか?』
『僕…絹川さんの高校時代の後輩なんです』
彼はじっと私の目を見つめる
から私は少しドキッとして
目を逸らしてしまった
『絹川さんが…僕の絵を綺麗だと誉めてくれたことがありました』