夏恋迷路◆だから僕らは夢を見た【短編集】


***


僕はあの子に話しかけてはいけない、と思ったけれど話してみたいとも思ってしまった。



あの子は誰のかも分からないお墓を撫でている。



話してみたい。だけど、話しかけてはいけない。


どうしよう、と悩んでいるとあの子は急にこちら側を向いた。



「ねぇ、そこで何をしているの?」


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