夏恋迷路◆だから僕らは夢を見た【短編集】


***


「君が言っていることは正しいよ。普通は残された人たちが花を供えてくれるかもしれない。だけどね、私は自分で花を供えるしかないの」


そういうと君はとても悲しそうな顔をした。


「...私が死んだ理由はね、虐待なの。私のパパとママは私のことが嫌いで、毎日傷つけてきたの。そしたら...私の体は虐待に耐えられなくなって死んじゃった」


何て言えばいいのか分からなかった。
きっと、今の君に何を言っても無駄だと思ったから。


「だから私は、自分が生きるために花を供えるの」


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