夏恋迷路◆だから僕らは夢を見た【短編集】
僕は今まで生きてきた中で一番とも言えるほどの勇気を出した。
そして、そのまま線路まで進み電車が来るのを待った。
きっと待つ時間はそれほど長くなかったと思う。
だけど、僕にとってその時間は何時間も待っているほど長く感じた。
カンカンカン、と電車が来るときのお決まりの音を鳴らして遮断機は降りた。
僕は電車が近づいてくる間、どこまでも続く線路を眺めていた。
だんだんと電車が近づいてくる。
不思議と“怖い”という感情は起きなかった。