夏恋迷路◆だから僕らは夢を見た【短編集】
僕に気づいた運転手はきっと慌ててブレーキを踏んだだろう。
だって、キキィィィ―――という音がうるさいほど響いているから。
だけどね、もう遅いよ。今更僕に気づいたってもうその塊は止まることは無い。
本当はもっと綺麗に死にたかったんだけど、今の僕にはこれしか思いつかなかった。
それは僕の目の前まで来てもスピードは変わらなかった。
―――そしてそのまま塊は僕に触れ、僕を高く跳ね上げた。