夏恋迷路◆だから僕らは夢を見た【短編集】
とくにすることも無かったので、そのまま外の景色を見ているとドアが急に開かれ、誰かが声をかけた。
「...奈津?もしかして、起きたの?」
あたしは自分の名前を呼ばれるままに声の聞こえたほうを向いた。
そこには、見覚えのある顔があった。
「奈津?体はもう大丈夫なの?」
あたしの名前を呼ぶ声にも聞き覚えがあった。
「奈津?聞こえてるの?」
「......お母さん?」
そうだ。この顔は、この声は紛れも無くあたしのお母さんだった。