夏恋迷路◆だから僕らは夢を見た【短編集】
俺はふと思った。
「おじさん、これって好きな子にあげてもいいの?」
言った後、俺はしまったと思った。
こんなの好きな子がいる、って言ってるようなもんじゃないか!
「ハハ、やっぱりいるんだな。
...そうだなぁ。これを買ったカップルのなかに2人がそれぞれ同じ奴を1つずつ買って交換していたから、いいんじゃないかな」
「そっか。じゃあおじさん、そのガラス玉2つ買うよ」
俺は最初におじさんが答えた言葉を無視して、あの娘にあげるために2つガラス玉を買った。
「まいどあり!君の恋、叶うといいな」
おじさんは元気良く言うと、俺のことを応援してくれた。
別に応援してくれなくてもいいのに、と思いながらも嬉しかった。
ありがとう、おじさん。