夏恋迷路◆だから僕らは夢を見た【短編集】
「......っ」
泣いていた。
ただ、ボロボロと俺の顔を見ながら泣いていた。
「な、なんで泣いてるんだ?」
俺が声をかけても泣いたままで話そうとしない。
俺は黙ってそのまま海が泣き止むのを待った。
こういうときなんて言えばいいのか分からなかったから。
しばらく待っていたら海は泣き止んだらしく俺に一言。
「...バカ。バカバカバカバカ」
「え?なんで?」
バカ扱いされる意味が分からなく、うろたえていると海は俺の質問を無視して話す。