夏恋迷路◆だから僕らは夢を見た【短編集】
「空!体が透けてる!」
俺の体が透けてきたから。
「もう俺には未練が無いから。お別れだよ、海」
俺が言うと海は一気に涙目になった。
...わがままかもしれないけど、最後にはせめて笑ってほしかったな。
「空のことずっと大好きだから。私がそっちに行くまで待っていて」
空は自分の目に溜まった涙を拭って俺に言った。
「うん。待ってるよ」
俺のその言葉を最後に俺の姿は完全に見えなくなった。
俺が最期に見た海は今までで一番の笑顔だった。