夏恋迷路◆だから僕らは夢を見た【短編集】
「...もうすぐ花火が始まる。去年と同じ場所に行こう」
そう言って君は私の手を取るの。
「え?もうそんな時間なの!?時間が経つのって早いね!」
私は笑った。心の中が知られてしまわれないように。
ねぇ、私のことをもう好きじゃないなら手を握らないでよ。
私はバカだから、もしかしたらまだ好きなのかな?、って期待しちゃうんだよ。
それでも久しぶりに手を繋げて、嬉しがっている自分が心の奥にいた。