夏恋迷路◆だから僕らは夢を見た【短編集】
花火が一番綺麗に見える場所。
屋台から少し離れた先にある高台に私たちは来ていた。
ここに来る間も、ここに来た今も何も話さなかった。
別に気まずいとも思わなかった。最近はこれが普通だったから。
それほど私たちの関係は冷めていた。
「あのさ、後で話があるんだけど」
あと5分ぐらいで花火が始まる、というとき唐突に話しかけてきた。
「うん、分かった」
きっとこれで終わるんだ。
そう思うと、今すぐにでも涙が出てきそうだけど我慢した。