しろくろ
ガツッ ガガガ ガンッ


鈍い金属音が響く


煉耶と氷の彫刻の闘いは互角だった


氷の彫刻が飛び上がり右足左足とまったく無駄のない動きで
舞のような蹴りを煉耶に向ければ

煉耶は対照的に大きな動きで後方にバック転で飛び退いた



「お前見た目だけじゃなく闘い方まで楓のモノマネか」


「何言ってるの?
私が楓だから当たり前でしょ
れ―んチャン!」


にっこり と微笑んだ


「テメェ いい加減にしろ!!!」

バキッ

煉耶の蹴りが氷の彫刻のみぞおちに入った


ガハッ ゴホッ ゴホ


氷の彫刻は苦しそうに咳を繰り返す


「いた…ぃ煉チャン……」

ハッ

その楓と同じ仕草に煉耶は固まる

ガシッ

氷の彫刻はその一瞬の間に煉耶の後ろに回り込み
煉耶の両手を掴かむ


「あははっ!!
こ――んな簡単なてに引っ掛かるなんてバッカみたい
そんなにあの子がだいじなの―?」


「うっせ―ょ」


「いいわ!
貴方も愛しの楓チャンと同じように氷付けにしてあげる!!!」


そお言うと

パキ パキッ

と後ろで捕まれている煉耶の両手が氷で硬められうごかせなくなった


「両手が使えないなんて
もぉ貴方の負けよ」


氷の彫刻の冷めた声が響いた


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