しろくろ
「大丈夫だよ!」

ルクスの泣き声を遮ったのは楓だった
しかし


「ありがとうございます。でも、もう結構です。」


泣きながら、しかしはっきりとルクスは言い切った。そして泣きながら、空を仰いだ。

復讐はきっと叶うことはない。刺し違えてでも、とも思うが自分の命を懸けるだけではおそらく傷一つ着けることも叶わないだろう。

そして死にたくない、と今更ながら生にすがり付きたい自分が確かにいるのだ。浅ましい奴だ、と自分を非難しても、死を恐れる自分をどうにもできない。


「力を征するのは力だけだ。」

「っえ?」

煉耶の突然の発言にルクスは思わず聞き返した。

「お前の親の敵討ちなんてオレ達には関係ない
オレ達は任務できたんだ。お前をいちいち励ます気はない。」

淡々と話す煉耶を楓は不安そうに見つめる。ルクスは地面をじっと見つめている

「…だがお前の敵とオレ達の敵は共通だ。
お前1人ではあの男の力には絶対にかなわない。

敵の力に少しでも対抗したいならオレ達に協力しろ。それが出来ないなら一生そこで泣いてろ」

……………………

グイッ

ルクスは目から鼻から流れるものを拭った
そして勢いよく顔をあげた

「ボク行きます!!!
行かせて下さい!!!!」


楓と煉耶は目を合わせた。煉耶の口角無意識に上がっていた。

「…わかった。
足引っ張んなよ」

「はいっ!!」


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