しろくろ

チャポン────

川に小石を投げ入れる石はゆっくりと水に呑み込まれ沈んでいく


決行は今夜
今夜また私達は人を殺す。

それが私の“存在理由”

そんなことは知っているしきちんと理解もしているつもりだ。だけど、いざ決行と言われるとやはり戸惑ってしまう。

こんなことではまた煉チャンに迷惑をかけてしまう。わかってはいるけど、どうしても戸惑ってしまうのは、自分がまだ弱いからだろうか。
などと、と自問自答をしてみるが、満足のいく答えがでてくるわけもなく、余計に暗い考えばかりが浮かんでくる。

「…ったく
こんなトコで何やってんだ」

不意に降ってきた声に振り向きもせずこたえる。

「……煉チャンこそ、こんなところに何しにきたのよ。」

何時もよりぶっきらぼうに答える。不機嫌オーラは全開。

「別に。
ブラブラしてたら着いただけだ。」

「ふ――ん。」


まただ。

煉チャンは任務の決行前に戸惑い、1人隠れている私をいつも見つけちゃう。
どんなに難しい所に隠れても、他の誰も分からなくても、煉チャンは簡単に私を見つけちゃう。


「…あんま気負い過ぎんなよ」


煉チャンはこういう時のわたしが、絶対に顔を上げないのも知っている。
だからその事については触れない。

「何のこと?」

少し悔しいからとぼけて、何のことか分からないふりをする。
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