しろくろ
ガンッ ガツドコ バキッ


──何だ。

遠くに聞こえる金属音が嫌に耳障りだ。

此処は何処だ?
オレは何をしている?


煉邪は体を起こそうとして、初めて自分の体の傷に気が付いた。その傷は深々と煉邪の体を切り裂き、血が体全体を覆っている。
あまりの激痛にまた一瞬でも気を抜けば意識を失いそうだった。


そうだ。オレは楓を庇ってファリスにヤられた…


そのことを思いだし、傷を確認しようと激痛に堪えながら重たい首を動かす。
すると心臓を貫く短剣が見える。
まだあまり使われていない綺麗な剣は、柄の部分に神の代理人の紋章が見える。これは昔煉邪が楓に送ったものだ。


───ヤバい!!!!

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