しろくろ
ビクッと一瞬楓の肩が跳ねた。
あぁ、煉ちゃんはお別れを言いにきたんだな、何となそう思った。いや、そう分かった。それを思うと涙は止めなく溢れる。
止められない。
「とりあえず、こっち向けよ。」
それに気付かない煉邪はグイッと楓の肩を持って無理やり振り向かせる。
「ふぇッ……」
「……な、泣いてんのか??ぉ、お俺は何もしてね―ぞ!?」
アタフタと楓を泣き止ませようとするが、逆に楓の涙は更に溢れて、煉邪の手には負えない。
コレでは話処ではない。
楓も涙を止めようとはするが、煉邪の顔を見ると止まらなくなっていた。
ポンポンッ
「ふぇ……?」
ポンポンッ
煉邪がゆっくりと優しく楓の頭を撫でる
「…ありがとう、煉ちゃん。」
にっこり、泣いて赤くなった目をしっかりと煉邪に向けて楓は笑った。