しろくろ
【自然】は【闘】の力によってそれを助けることも、目を背けることも出来なかった

目の前で他の男の手にかけられる愛する女

それを見ていることしか出来なかった自分


【自然】は絶望した


そして色の消えた世界から、自然もまた消えかけていた。
【自然】は【色】が死んでから一歩もその場から動かなかった
目は虚ろで、その場に踞りただ、息をしているだけの状態だった
その為自然の力が弱まったからだ

その姿を見かねた【光】【闇】は協力し、一刻だけ二人に最後の時間を与えた



その時、彼女は言った

『私はいつかきっともう一度生まれ変わり、貴方に会いに参ります。
ですから、どうか其れまでこの世界を守って下さい。』


それを聞いた【自然】は涙した

自分がその時まで生きては居られないことを彼女は知らなかった


『どうすれば自分はもう一度、最愛の女に会える…?』


【自然】は考えた
そしてその結論は自分も死ぬ、と云うものだった

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