あの空で
第一章
七草家
夏の日差しが強い日に空(ソラ)たち、兄妹弟は生まれた。
「永遠(トワ)、ついに生まれたか!」
永遠と呼ばれた女は、夫である尚孝(ナオタカ)に生まれたばかりの子を見せようとするが、
「ええ、あなた。でも……三つ子です……」
辛辣な顔をする。
「なんだって!? それは本当か?」
驚きを隠せずにいた尚孝は両手で泣き顔を隠す永遠をそっと抱きしめる。
生まれたばかりの我が子を愛しいはずがない。
愛しいからこそその意味を背負わなければならないのか、と永遠は嘆いたのだ
「大丈夫だ。私が何とかしよう。永遠は笑ってくれさえすればいい」
「……あなた」
「なぁに、何も心配する必要などないさ。私たちの子はアノようにはならないさ」
「ですが……万が一ということも……」
「たとえそうなったとしても我が子だ、守ってみせるさ」
「あなた……」
「それに策はあるだ」
「策ですか?」
「ああ。それと、父には私から『双子』だった、と伝えておく」
「まさか! …」
尚孝のやろうとしていることが永遠は分かっていた。
分かっていたからこそ言いたくても言わなかった。
いや、その方法しかないから言えなかったと言ったほうが正しいのだろう。
愛しい我が子たちを――。