あの空で
お見舞いで
十二回目の夏が今年もやって来た。
七草 空(サエグサ ソラ)ことあたしは兄、朝陽(アサヒ)と共に
入院中の友人のお見舞いに来ていた。
「実未(ミミ)、お見舞いに来たよ」
親友でもあり、あたしたちの幼なじみでもある上浦 実未(アミウラ ミミ)がいる病室で仕切っているカーテンをこっそりと覗かせた。
「あ、空! 朝陽くんも!」
「よお」
実未は笑顔であたしたちの名を呼び、朝陽は気のない返事で返す。
「相変わらずだねぇ〜」
「この愚兄は気にしないように。ふふ、実未は元気にしてた?」
「元気も何も…暇をもて余し中だよ」
肩を竦める実未にあたしは苦笑いを返した。