Once again…


 翌日、朝一番で弁護士に連絡をする。
多分、昨夜考えた通りに、誉田里美が係わっている可能性が高いでしょうとの見解だった。
「小栗さんですか? おはようございます、藤森です…」
 弁護士との話が終わった後、小栗さんの携帯に連絡をした。
「おはよう。連絡したか?」
「ええ、弁護士さんも彼女の犯行の可能性が高いっておっしゃってるの」
「そうか…。なぁ、その女の写真って手に入るか?」
「…うちにあるわ。彼が残した荷物の中にあるから」
「今日、警察がそっちに行く。だから翔太に見せて、確認しろ。間違いなければ、警察に渡すんだ」
「はい…分かりました」
「翔太は? どうしてる?」
「昨夜はあんまり眠れなかったみたいだけど、容態が急変したとかはないわ」
「そうか…。でも注意しとけよ?」
「ええ、分かってる。小栗さん…」
「ん?」
「ありがとう…」
「…仕事終わったら、またそっち行くから…」
「ええ、分かりました」
「じゃ、また後で」
 電話を切ると、夫の荷物を漁って、目的の写真を探す。
もし彼女が本当に翔太に手を出したなら、私は何があっても絶対に夫も許せないと思った。

 写真を探し出し、翔太に確認をさせる。
「この人だよ」
「そう、分かったわ。ごめんね、怖い思いをさせて」
「おかさんのせいじゃないよね? おかさんが悪いこと、したんじゃないよね?」
「違うわ。お母さんは何もしてない。悪いのはお父さんの方だもの」
「じゃあ、僕はおかさんと一緒にいられるんだよね?」
「当たり前でしょう? お母さんはどこにも行かないわ」
「あのおじさんは?」
「あのおじさんって…小栗さんのこと?」
「うん。あのおじさんもいてくれる?」
「…どうかしらね…それはお母さんには何とも言えないわ。今夜は翔太の様子を見に来るって言ってたけど?」
「ほんと? 来てくれるの?」
「ええ、さっき電話で言ってたわ」
「やった! 僕、おじさんとゲームやりたかったんだぁ」
「何時に来るかは分からないから、やれたらにしておきなさいね」
「うん!」
 ニコニコと笑顔を見せる。
その後、やって来た警察の方の事情聴取にも頑張って答え、私が渡した写真も持って帰っていった。
「いやなこと思い出させてごめんな。でもちゃんと翔太君のためにも、悪い人はおじさん達が捕まえるからな」
 そう言いながら頭をそっと撫でてくれた。
くすぐったそうに笑う翔太のためにも、一日も早く解明してほしい…そう思った。



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