Once again…
「藤森! 飯行こう!」
最近休憩になると、営業に行っていない限り誘いに来る男がいる。
「…またですか? そんなに毎日のように外食なんか出来ません!」
「じゃ、奢るから行こう」
「いやです。今日はお弁当ですから」
「藤森、それ私に…」
「斎須さん!」
「斎須さんもこう言ってるんだから、行こうか藤森」
「だからいやですってば!」
意気揚々と私の手を引いて、連れ出そうとする小栗さん。
そして、嬉々として私のランチボックスに手を出す斎須さんが、強引に連れ出される私の目の端に映った。
「毎回毎回、外食してたらお金ももったいないし。何より太ります」
「じゃ、俺のも弁当作ってよ」
「いやです」
「食費入れるからさー」
「カレカノでもないのに、お断りです」
「じゃ、彼女になればいいだろ?」
「なんで?」
「なんでって返してくるのか?」
「離婚成立したてだし、そういった事は考えたくないもので…って言えばいい?」
「離婚成立したからいいんじゃないかよ」
「したばっかりでそんな事になれば、逆にモラルを疑われるわ」
「なんだよ、俺にまだ我慢しろって?」
「じゃ、他に彼女をお探しになったらいかがですか?」
「無理。綾子じゃなきゃ、無理」
「…一生待ってると、腐りますよ?」
毎日同じ言い合いをして、懲りないのかなってちょっと呆れるけれど。
また変な嫌がらせに遭いたくないので、なんとなく自分を律するためにも必要になっていた。