あのこになりたい
「中3の2月あたりに、言ってきたの。でも咲は高校違うのもあって幸輔は思いとどまったみたい…。というより、思いとどまらせたの」


綾は見たことないような顔をしている。



「なんで…?」


私の質問に綾は、


「…だって幸輔が好きだったんだもん。1年の時からずっと…」


綾は涙を必死でこらえて、話を続けた。



「咲が幸輔を好きって知らなかったから…」


綾の言葉に胸が痛い。



「綾だって…言ってくれなかったじゃん」


私が言うと、


「だって…私なんかが恋してるなんて、絶対笑われるって思ったから」


綾の我慢していた涙はこぼれ落ちた。



「そんな…笑ったりしないよ」


私が言うと、綾は首を横に振った。



「咲はずっと私をバカにしてた…バカだし太ってたし鈍いし」


綾の言葉が胸につきささった。



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