あのこになりたい
「成績だって上がったし、担任の先生も勧めてくれたんだよ。でも…私立はお金かかるからダメだって」


お金…


「何回も頼んだけど、そんな余裕ないからって。お姉ちゃん大学行くから余裕ないって…。私なんて結局親からもなんの期待もされてないんだよ。綾は優しい素直な子でさえいればいいって。それ以上何も望んでもらえないんだよ」



親の期待が重いっていうのはあったけど、期待されないって…



「私は認めてもらえないんだよ。いつまでも。お姉ちゃんや咲に比べれば私は勉強できないし頼りないけど。私の努力ぐらい認めて欲しかった…」


綾は泣きながら言った。



「綾…」


私は、綾を抱きしめた。



「私…全然知らなかった。ごめん…あんなひどいこと言って」


綾は、


「私こそごめん…幸輔のこと…卑怯な真似して」


そう言って私に抱きついた。



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