あのこになりたい
やっぱりいいな…
この人の笑った顔。



「今は…一人で暮らしてるんだ。だから、時間気にせず何かあったらいつでも連絡して」


彼はそう言った。


「一人って…なんで？」


聞きづらいけど流れで聞いてみた。


彼は、私から少し視線を外した。


「親父は再婚したんだ。17歳の時。新しい奥さんと俺は8歳しか違わないんだ…」


彼はまた私を見た。


「18歳違いの妹も生まれてさ。あの家族に俺がいるのすごく不自然だし…。高校3年の時に親父は転勤になって俺だけこっちに残ったんだ」


彼は普通の顔して話してるけど、きっとこの笑顔の下にはたくさんの孤独や寂しさが隠れているのだろう。


「今の家は俺の名義に変えて新しく家建てるらしいよ。この年ですでにマイホーム持っちゃってんの」


彼は寂しい笑顔で言った。


「マイホーム…今度お邪魔していい？」


私が言うと


「うん…」


彼は少し驚いて頷いた。



「じゃあ…掃除しとかないとなぁ」


「見られて困るものとかはちゃんと見えないとこに隠さなきゃね〜」


私の言葉に彼は少しむせた。


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