あのこになりたい
「そんなもんねぇよ…」


夕暮れの中でも彼が赤くなってるのはわかった。


「絶対怪しい」


私がからかうと彼は笑って言った。


「岡田の部屋にはあんの?」


お兄ちゃんの部屋…?


「ないよ。見たことないもん」


私の答えに彼は


「あるよ。ベッドの下とかに」


からかって言った。


「ない」


私が言うと


「ププッ…ブラコン」


と笑って言った。



「違う!!」


私がほっぺたを膨らますと彼は私のほっぺたを軽くつっついた。


「機嫌直して〜」


なんか私…ちょっと顔が熱い。


この人はきっとなんとも思わずにこんなことしてるんだ。


むしろ子どもだと思って…

でも私には男の人だから。

恥ずかしい中に少し嬉しいのも混じってる。



でも、幸輔のことを好きな自分の気持ちを裏切ってるようなうしろめたさ。


片思いだからそんなの別にいいんだけど。


なぜだか少し胸が痛かった。



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