あのこになりたい
友情と嫉妬は背中合わせ
シュンに会って、昨日までの日常に少し光が射した気がした。



けれど、このドアを目の前にした瞬間、全ては…まるで夢だったような気持ちになる。



一気に現実に引き戻される。


結局、幸輔が好きだと思っていても、少し浮かれることがあった日でも甘い気持ちは一気に冷めていく。


しっかり地に足が着いた私に、一瞬にして戻してくれる…


全くありがた迷惑なドアなのだ。



そして、このドアはある意味、母そのものなのだ…


絶対に甘い夢など見せてくれない。



重いドアをゆっくり引いた。



「ただいま…」


私は自分の顔がみるみるうちに無表情になっていくのを感じた。



キッチンに母が立っている。



「いつもより遅かったわね」


時計を見ながら言った。



いつもより…


いつもは6時前には家に着く。


今日は6時40分。


ロボットじゃないんだから…


「ちょっとペン買いにお店寄って帰ったから」


私が言うと、


「そう…」


母は少し疑いながら言った。



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