あのこになりたい
「咲はどうしても俺から岡田へ矢印を出させたいんだな」


シュンはため息混じりに言った。



「だ、だって…」


私は笑うのを必死でこらえた。



「岡田が毎日どんなこと考えてるかわからないけど。俺との思い出は岡田が最後に味わった『人との関わり』とは比べ物にならないぐらい楽しかったに違いないからな」


何…この自信。


「あ、そう…」


私があっさり返すと


「岡田の中ではたぶんちょっとした変化にはなっただろ…？」


控え目な返事が返ってきた。



部屋の電話の内線が鳴った。


「電話？」


「内線。たぶんご飯。じゃあね…」


私は急いで電話を切った。


シュンは単純なんだか考えてるんだか…


よくわからないな。


つかめない人…


私は携帯を置いてキッチンへ向かった。

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