あのこになりたい
ピンポーン



「え…うち?」


私は耳を澄ました。



階段を上る足音が聞こえる。


ガチャ


「綾…」


ドアを開けた綾の顔は少し困った表情だった。



「咲…CD…」


私は一瞬にして血の気がひいた。


「あ…あの…綾と気まずい感じで帰っちゃって。会う口実にしようと思って」


私はとっさに嘘をついた。


「そっか…今日返すって言ってたのにおかしいなって思って電話したらそう言ってたから」


綾は少し安心したように見えた。



「ごめん…」


私は綾にまた謝った。



「いいの。CD明日貸さなきゃいけない友達がいて。急いでただけだから」


綾は少し大人になったな…

前なら納得するまで「なんで?なんで?」って聞いてきただろう。



綾を変えたのは一体何なんだろう…


誰なんだろう…



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