あのこになりたい
綾が帰った後、私は綾のお母さんを思い出していた。


シュンのことであれほどひどかったから、彼氏なんてできたら…


いいな綾は。


お母さんとあんな風に話して、あんな風に笑い合って…


気軽に幸輔に電話できて。

なんか私…


すごく惨め。



あんなことするんじゃなかった…


嘘なんて付くんじゃなかった。


後悔が押し寄せた。


自分の欲深さ、汚さを実感してさらにへこんだ。



シュンならなんて言うだろう。


こんな私を見てなんて言うだろう…



シュンの声が聞きたくなって久しぶりに電話をかけた。



「もしもし?」


シュンの声だ。



「もしもし…」


「元気ないね…何かあった?」


シュンの言葉に目がうるむ。


「自分の性格の悪さに…ちょっと」


そう言った私の声はひどく震えた。



「完璧な奴なんていないんだから、悪いとこあってもいいんだよ」


シュンは明るく言った。



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