あのこになりたい
「悪いところに気付いて後悔できるなんて咲の心がきれいな証拠だよ」


シュンの言葉のせいで涙が止まらない。



「心を開けば悪いとこも一緒に出てくるだろうけどさ。咲のこと大切に思ってる人なら許して受け入れてくれるよ」


シュンは優しい声で言った。


「ありがとう…」


私は心のモヤモヤが消えて行くのを感じた。



ガチャッ



突然ドアが開いた。



「お母さん…」


私はとっさに電話を隠した。


「こんな遅くに誰と話してたの?またあの子?」


母は洗濯物を手にしている。


間が悪かった…



「お兄ちゃんのことはお兄ちゃんのこと。あなたは関係ないの。あなたは余計なこと考えないで勉強しなさい。友達だってライバルなのよ。夏休みだからってサボってたら痛い目にあうわよ」


私は、母の言葉を聞きながら怒りを押さえられずにいた。



「有田くんとは関わるのやめなさい。一人暮らしなんでしょう?複雑な家庭で育ったとか…。なんか変わった雰囲気を持ってると思ったら…」


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