君とは違う私の世界。




「座ってくれないか、えーっと………」


「シェリア・ウォールよ。」


これ以上指図されるのがどうしても嫌で 自ら椅子に腰を下ろした。


笑顔なんて忘れて その瞳は何も捉えていなかった。


「そんなに怖いかおなさらんと なぁシェリアさん。」


そんな私にかけられたじゃれた声。


ベッドのおじいさんだった。


「…ぁっ すいません。 ロレルタ…さんでしたよね?」


椅子に座り直して おじいさんの方を向く。


「ロジェルタじゃよ。」


「まぁっ…!! 失礼しました…。」


あの非常識男とは違って 温かで柔らかなそうな頬に 真っ白な髪とひげ。


「いやいや 元気な子がきたものだ。 おいロアン、話を始めよう。」


さっき私が使ってたマグカップを片付けてくれていた非常識男が振り返った。


「あぁ 今行く。」


_____ガチャン


近くにあった椅子を私の横に置き どかんと座った。


……何を知ることになるんだろう。


今何が起きているのか 私はどうなるか


嫌だ 知りたい知りたい言ったはずなのに いざとなるとちょっと躊躇う。


だけど 私がバラバラにした本のコト 淡い光のコト 私に迫ってきた気配のコト ロアンとロジェルタさんのコト ここの者じゃないからなという意味のコト


たくさん ちゃんと聞かなくちゃ。




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