君とは違う私の世界。
「はーっはっはっはっはっはっ!!」
お腹を抱えて 堪える素振りなど見せずに笑っている。
「…何がおかしいのよ。」
「いやぁすまない。じいさん 彼女はここのコトを何も知らないんだよ。僕から話す。」
目に浮かんだ涙を拭き 表情を一変させ私の瞳をしっかりと捉えた。
「君は 死んだ人が天国に逝くのを知ってるね?」
バカにしたような話し方には やっぱりムッとする。
「えぇ 一般に存在するかは分からないけれど、天国なら知っているわ。」
「ここは死者の国デス・ヘヴェンだ。」
きりっと私を見る瞳はキレイな色だった。
「…ちょっと…待って……じゃあ亡くなった人はみんなここに来るの?」
私もしっかりと見つめ返す。
「そうだ。」
ふっと頭をよぎる大切な人の顔。
私のバースデーケーキを買いに行ったきり 会うことはもう出来なくなった。
「……2年前に死んだ人は今もいる?」
「ここに居られるのは100年だ。その人が望まなければ まだここにいるだろう。」
つぅっと頬を伝う涙を 堪える術を私は知らない。
我慢すればするほど 涙は溢れてくるんだもの。
「望まなければっていうのは…?」
「死人は ここのドアキーパーの所を通過してくる。必ずだ。すると死書という書物にその名が刻まれる。それからは自由だ。自らここへの存在理由が無くなったと思えば ここを去ればいい。そしたらその夜 彼らは星になる。君の所で語られていることは割り方当たっている。」
ロアンはゆっくりと話してくれるから すーっと頭に入って行く。