君とは違う私の世界。




「あなた、風邪を引いたんじゃない?今日はゆっくり休むといいわ。」


前に出された朝食に 少女はゆっくり手をつけた。


「…いいえ。今日は用事があるの。どうしても 行かなくてはならないの。」


温かなスープを一口 口にしてから穏やかな表情を見せた。


「…っ でも 今日は吹雪くわ。やめておきなさい。」


「平気よ。 昼までには戻るもの。ほら、ママ時間。」


少女が時計を指差した。


「あら もう行かなくちゃ!シェリア 家に戻ったら必ず連絡することよ。それと 体を温かくしていきなさい。」


「えぇ 分かってるわ。」


母は少女に優しいキスを残して バタバタと家を出ていった。


少女の名はシェリア・ウォール。


幼い頃に父ダニアル・ウォールを亡くし 母モデラス・ウォールが女手一つで育ててきた。


父は シェリアの13歳の誕生日に バースデーケーキを買いに行き その帰りにある事件に巻き込まれ亡くなった。


その後犯人は自ら命をたった。


それからというもの 母モデラスはたった一人の愛娘を 今まで以上に大切にするようになった。





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