君とは違う私の世界。
ロアンはもう死んでいる。
それに気付いてしまうと 急に現実味をおびてくる。
ゆっくり立ち上がって テーブルの席についた。
「人は 100年あれば願いを叶えられるというわけだな。」
「えぇ そうね。」
私の前に差し出されたケーキ。
「食え。旨いから。」
やっぱりカタカタと音がなる。
「…ロアン あなたはいつ死んだの?」
思わず聞いてしまった。
非常識男だなんて言ったけど 実はちゃんとした人なのかもしれない。
ロアンはしばらく固まっていたけれど 私が不安そうに表情を曇らせていくから 慌てて答えた。
「あっ 俺はかなり前だよ。」
その時のロアンは あの意地悪な非常識男なんかじゃなかった。
「…いくつで亡くなったの?」
「俺は17の時だ。死んだときの容姿のままここに来るから これは俺が死んだときの姿だ。」
真っ白でキレイな肌をしていた。
「…傷とかは残らないの?」
「傷は 事故死なら残る。俺は事故死じゃなくて病死。体が弱かったから。」