君とは違う私の世界。




自分からがつがつ聞いていったのに 後悔していく。


「俺はここに来てから もう今期で30年だ。」


「っ30年!! 本来なら47歳ってこと!?」


甘いケーキがほんのりといい香りを放ちながら 口いっぱいに広がる。


「…ロアンがここに存在理由を感じているのはなぜ?」


聞かなきゃ良かったと思っても もう取り戻せない。


「……理由は 在り来たりだ。」


眉を下げて ピンクのドリンクを一口口にした。


「なぁ 死人がどうして100年だけここに居られるのか 分かるか?」


その言い方は少し上からだったけど 今は全く気にならなかった。


「100年あれば 願いを叶えられるからってさっき言ってたじゃない。」


「それもそうだな。」


さっきからずっと 私から目を反らさずに何かを伝えようとしている。


「…いつか君にも分かる日がくる。」


死んでしまった人は みんな大きな悲しみを抱えているのかな?


やり残したこととか きっとたくさんある。


パパ、パパにもやり残したことあったよね?




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