君とは違う私の世界。
ぼんやりとそんなことを考えていたら ロアンが困ったように言った。
「…気にしないでくれないか?早く本題に入ろう。」
前のロアンに戻っていたことに ほっとすると同時に まだ本題じゃなかったことに驚いた。
「まだ本題じゃなかったのね。」
「あぁ。」
きりっとまた引き締まる顔。
かなり深刻な話になるようだ。
「…外を見てくれ。」
言われたように その部屋の窓のそばまで行き外を見た。
黒い画用紙を張り付けたのではないかというほど真っ暗だった。
「何にも見えないわ。」
どれだけ目を凝らしても 何一つ捉えられない。
「これを見てくれ。」
今度はロアンが何かを指差している。
白い額縁に入れられた真っ白な絵。
近くに行って見に行くと それが街であることが分かる。
「まぁ素敵。キレイな街ね。」
振り返ってロアンに言うと ロアンは目を伏せた。
「かつてのデス・ヘヴェンだ。」