君とは違う私の世界。




朝食を食べ終えると シェリアは食器を片付けて 何の躊躇いもなく コートとマフラーを身に付けた。


そして 窓をカタカタ揺らすほどの 強風のなかに飛び込んでいった。


辿り着いたのは シェリアの知らない図書館だった。


なのに迷いなく中へ入り 歴史や文化 古典などのコーナーへ向かった。


そこでシェリアが手に取ったのは古びた本だった。


色褪せて 本の名前も分からない程だった。


カウンターには 愛想の悪そうな女が 面倒臭そうに頬杖をついていた。


「あの これを借りたいのですが。」


「登録されていないようですね。……身分証明書などは?」


「あ はい。」


着てきたワンピースのポケットから 手帳を取りだし カウンターの女に見せた。


「…シェリア・ウォールね。はい、貸し出し期限は3週間だからそれまでに返してくれればいいわ。」


「…ありがとうございます。」





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