君とは違う私の世界。




表紙をゆっくりと開いた。


それだけでも パラパラと欠片が落ちる。


だが それだけではすまなかったのだ。


_____パラパラ パラ バサッ!!


「………っ!」


ただ 表紙をめくっただけだった。


なのに 本はバラバラに崩れてしまったのだ。


「…っ!! どうしよう 少し触っただけなのに…」


窓が少し空いていた。


_____ブワーッ


「きゃっ……」


急に入ってきた風に バラバラになった本は舞い上がり その欠片が部屋中に広がった。


クローゼットを開けたままにしていたことを後悔したが もう遅かった。


ベッドの下や カーペットの裏 部屋の隅々にまで 欠片は散らばっていて 片付けのことを考えると シェリアは頭を抱えた。


「……どうしてこんなことに?」


全てが自分の思考が回る前に起きてしまうことに シェリアは苛立ちを感じていた。


だが その時間すら与えまいと 事は更に 前へと進んでいく。


部屋中に広がった欠片が サワサワと動きだし 淡く温かな光を放つ。


全ての始まりだった。





< 6 / 38 >

この作品をシェア

pagetop