烏鎮(うーちん) 上海水郷物語2
上海水郷物語

祖父の死

静江の祖父が亡くなった。
今年30歳になる静江は一人娘の死後、
重度のうつ状態になり離婚して旅に出た。

中国の雲南省を中心に半年ほど、
何も考えずに大自然の中を歩き回った。

雪をいただく山々をボーっと眺めながら
素朴な人々と触れ合った。やっと傷が癒えて
実家にたどり着いた時、母の第一声は、

「おじいちゃんが亡くなった。もうすこし
早ければ、死に目に会えたのに」

母はそう言って古びた茶封筒を静江に
手渡した。表に毛筆で静江と書いてある。

「おじいちゃんから静江にだって。小さい頃
ずいぶん遊んでもらったからね。お前が孫達
の中で一番可愛がってもらえた」
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