烏鎮(うーちん) 上海水郷物語2

王美麗

命乞いもしないで祖父に刺し殺された母。
娘の写真を手渡す。最後の思いを込めた瞳。
拒否できない一念を受け取ってしまった祖父。

祖父はその思いを一生握り締めて死を迎えた。
免罪符。今ここに全てを水に流すことが
できるのだろうか?

静江は人の多さにペンダントを双橋川に捨
てるのをやめて引き返した。足は自然と
染物作業場へ向かっていた。

かめに入った大きな酒蔵の隣に染物工場が
あって手作業で反物ごと染め上げ天空に
何枚も日干ししている。

さっきは団体と一緒だったが今一人ゆっくりと
染め工場をながめ歩いた。一部屋ごとに染めの
手順が展示してある。

一番奥に庭があって、さらにその奥には人が住
んでいる。いい匂いがする夕食の支度だろうか。

軒下でおばあさんが編み物をしている。そっと
近づいてロケットの写真を見せた。
おばあさんは微笑んで、
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