烏鎮(うーちん) 上海水郷物語2

誓い

楽団の前に白のタキシード姿の孔明が二つの花束
を持って待ち受けていた。花束が一つ花嫁に渡され
孔明が手を取ってエスコートする。耳元で、

「よく来てくれたね、あとは全て僕に任せて」
静江は笑顔で大きくうなづく。
一段と拍手は高鳴る。

逢源双橋の二つの橋げたには赤い絨毯が敷かれ、
二人は別れて双橋をわたる。何度も顔を見合わせて
微笑む二人。橋の南詰めで二人が合流すると、

さっき描きあげられた大きな水彩画の前に出た。
絵には金の額縁がはめられ中央から赤いリボンが

かかっている。その裏側に一段高くなって仙人の
ような人が黒いタキシード姿で立っている。

楽団が止み、花束を脇の人が受け取って、
二人は神妙に絵画の前に進み出た。

「今ここに新たなる夫婦が誕生した。静江、あなたは
孔明を生涯の夫としてこれを認めますか?」
「はい、みとめます」

「孔明、あなたは静江を生涯の妻としてこれを認めますか?」
「はい、生涯の妻と認め誓います」
「ではここに二人の誓いの証としてこの絵にサインをして下さい」

二人は絵画の上にサインをする。
「さらなる証のためにこの指輪を交換して下さい」
二人は指輪を交換し合う。

「それでは、最後の証として誓いの接吻を」
ふたり、口づける。
「以上の証の上に二人を夫婦として承認いたしました」

一斉にフラッシュがたかれ楽団の演奏が始まり、
二人は双橋の一方に二人で手を組んで歩き始める。
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