短編小説集
(こんな告白ってありなのかっ!?)

両手を上げて、降参ポーズをとりたくなるほどにはまいった。

名前で呼んで欲しかったのは好き子だったから。
家族や親戚、園川夫妻以外が呼ぶことのない名前。

それをこいつには呼んで欲しいと思ってたんだ。

でも、その願望と告白がセットで叶うって――。

周りの照明なんて意味がないことに気付く。
だって、俺の隣に座る織姫の顔が真っ赤だって俺がわかるんだから、当然、俺が赤面してるのだって織姫にばれてるはず……。

(いや、ないか――こいつ、俺のこと見てないや)

そんなことに少しの余裕が生まれる。

「織姫」
「何っ!?」

下を向いたまま反抗的な返事。

「こっち向けば?」
「やだよっ。絶対笑ってるし、今日のせーちゃん浴衣着ててセクシーだしっ。水泳部に入ったから?? 華奢だったのに少し胸板厚くなってるっ」

(なんつーことを……)
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