短編小説集
「何……」
「今ならリンゴ飴味っ」

付き合うとか付き合わないとか、色々すっ飛ばしてる気がした。
けど、俺は2回目のキスをする。

今度は甘くて酸っぱいリンゴ飴の味を存分に味わって。

唇が離れると、

「今のが初チューねっ? 人に言う時は絶対にたこ焼きチューは言っちゃだめだからねっ!? 絶対秘密だからねっ!?」

またしても横暴織姫全開なわけだけど……。

「質問……。お前は誰かにこのキスの話をするのか?」
「え? だってママとパパに報告しなくちゃ」

きょとんとした顔で言われる。さもありなん、と言わんばかりに。

「するのかっ!?」
「え? だって、毎年毎年訊かれてるんだもの。せーちゃんと初チューはまだ? って」
「………………」
「ついでに言うと、せーちゃんママとせーちゃんパパにも訊かれてるよ?」

俺は思い切り脱力した。

(間違ってなかった……。やっぱり俺は4人プラスひとりのトラップにまんまと嵌ってたんだと思う。でも――これで片思いは終了、になるのか?)
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