ぼくはここにいます
恋する標的
「あ、あれよ、あれ!あれが伊藤」
とある休み時間。
僕は廊下にひっぱりだされ、相沢の意中の相手を見ることになった。
「どれだよ」
「ほら、あれ。真ん中の」
相沢が指さす先を見て、僕はため息をついた。
校則をきちんとまもった黒髪。
だけど真面目すぎる感じでもなくて、さわやかだ。
すずしげな目に、筋のとおった鼻。
おまけにスラっとした高身長で、足がながい。
あれが本当に僕と同じ人種なのか?
ああ神様、不公平です。