ぼくはここにいます
あれから一週間たっても、一ヶ月がたっても。
相沢が伊藤君としゃべることはなかった。
「ムリ、ムリなの。なにを話せばいいのかわからないし」
「これじゃあ、いつまでたっても進展しないよ」
最初に僕に話しかけてきた勢いはどこへいったのか。
廊下で伊藤君が遠くに見えても、
彼女は僕の背中に隠れて彼を見つめるだけだ。
「もう見てるだけでいいかもしれない」
挙げ句の果てにはそんなことを言いだすしまつだ。