君と恋に堕ちた事について
裸でタオルケットにくるまって眠る麻実を横目に、おれは窓辺で沈み行く太陽を見ていた。


麻実の頬を夕焼けが染めている。


麻実は、子供がほしいのだろうか? オレだって、麻実との子供がほしいとは思う。

しかし、それは許されるのだろうか?


「何考えてるの?」


いつの間にか目を醒ました麻実がオレを見つめていた。


「いや、何も。」


何故かとっさに嘘をついてしまった。


「私の事考えてたって素直に言えばいいのに。嘘はバレるよ。」


「そうだな。」


麻実は、オレの事などお見通しなのだ。


「ごめんね。私が子供なんて言っちゃったからだよね。忘れて。」


女性として産まれて子供がほしいというのは、当然の事なのに、オレはその権利さえ奪ってしまうのか?


「京介さんさえ側にいてくれたら何もいらないよ。」


麻実の顔が少し寂しげに見えた。
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