君と恋に堕ちた事について
オレのマンションに着いた。

山里は、一言も話さない。

玄関を開けると、麻実が待っていた。

麻実の顔が強ばっていた。

「麻実…」

山里は、麻実を見つめていた。麻実も山里を見つめていた。

麻実は、背中を向け奥に入った。

しばらくの間、3人は無言のままだった。

誰から何を話せばいいのか…

沈黙を破ったのは麻実だった。

「ごめんなさい。」

麻実は涙声だった。

「何度謝っても、許される事じゃないけど、私は京介さんを愛しているの。前からずっと…。」


「オレの事はなんだったんだ?ただ、おままごとをしてみたかったのか?」

「そうじゃないって言いたいけど、結果的にはそうなのかも。あなたと結婚したのは、京介さんを忘れる為だったから…」

山里は、拳を握り体を震わせていた。

「最低だな。麻実も部長も。」

そう言うと山里は、肩を震わせて泣いた。麻実もオレも黙って山里を見つめていた。
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