君と恋に堕ちた事について
「山里は何時頃に帰って来るんだ?」


「多分、7時から8時くらいかな。試合が終わってから、呑みに行くみたいだから。」


麻実は煮魚の骨を器用にとりながら答えた。


「京介さんは?何か趣味ないの?」


そういえば、麻実としみじみ話しをした事がなかった。

いつも夕食を一緒に食べ、体を重ねて帰る…その繰り返しだった。


「趣味か…」


「仕事だけなんて言ってるとボケるよ。」


「昔は釣りとか、潜るのが好きだったけどな。」
「また、やればいいのに。」

「そうだな。麻実の趣味は?」

「私? 映画観たり、料理する事かなぁ。」

「料理うまいもんな。」
「男は胃袋を掴めっていうでしょ。男って単純だよね。」


麻実は笑った。そう男は単純だ。好きな女が笑っているだけで、嬉しいのだから。
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