君と恋に堕ちた事について
ピンポーン 呼鈴を押してみたが返答がない。


考えてみれば、高熱を出して寝ているのだ。玄関に出てくるのさえ、億劫だろう。


もう一度、呼鈴を押そうとした時に、「はい。」とかすれた声がした。

「時田だ。」


鍵を開ける音がして、ドアの隙間から麻実が顔を出した。


「大丈夫か?アイスクリーム買って来たんだ。」

「感染しますよ。」


「オレは、めったに風邪ひかないから大丈夫だよ。」


麻実は困ったように弱々しく微笑み、オレを招き入れた。
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